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今日は将棋棋士、永瀬拓矢九段のことしか書けない。


私は、彼が必死に紡いでくれた言葉が大好きだ。

小説や詩歌で得られる感動とは全然違う、永瀬さんにしか出せない言葉は、どこまでも透明でまっすぐで胸を打つ。心からそう思っているから伝わる何か。将棋、ストイックすぎる生き方、好きなものを語る時のチャーミングな笑顔。どれも最高だけど、一番好きなのは彼の口から語られる、彼がみた世界だ。


そんな永瀬さんが、言葉を捨てるという。

今年は元旦から1日も休みを取らず、毎日ずーーっと将棋と向き合う研究の鬼。レーディングは現在2位。一つでも取ればすごいとされる、タイトル獲得合計は5期。めちゃくちゃ強い、将棋界随一の努力家。そんな彼が、藤井聡太七冠に勝てないのだ。勝てないから、先に進む方法として、言葉をも捨てるとインタビューで語った。

(下記リンクを騙されたと思って最後まで読んでください)



あああーーー!

“和服の構造が理解できて、着崩れないから悲しい“ってなんですか! “将棋のために頭をよくしたかったのに、バランスよく能力を上げてしまって、一般人レベルの生活ができて悲しい“ってなんですか……。人間やめないと勝てない、そんな闇堕ちする主人公発言をなんでナチュラルに展開するんですか……!!!


9月30日に、その藤井聡太さんとの王座戦があります。現在、藤井王座が2連勝。5番勝負の角番。これを落とすと永瀬さんはタイトル戦に敗れます。どのように彼がその戦いと向き合うのか、私はこの対局を直視できるのか、今から胃が痛いです。なんとか永瀬さんを応援したい。


最後に永瀬さんの最高な言葉が詰まった記事を貼っておしまいにします(有料記事なのですが9月29日21時まで無料で読める)。「できない子は頑張ってないからできないんじゃなくて、できないからできないんです」と語る、永瀬さんのやさしさ。しみる。



次男氏風邪のため、保育園をお休みする。

熱はない。少し咳が残っている。元気な病人が家の中で暇を持て余し、無印良品のビーズクッション(通称:人をダメにするソファ)をずりずり押して、部屋のあちこちを移動している。ロボット掃除機のようにぐるぐる巡回するので、クッションの静電気が埃をどんどん集めていく。クッションが薄汚くなるけど、こういう掃除もあるのか。そのあとは、どんぐりと車でお話を作って遊んでいた。箱と箱の間に橋をかけて、落ちそうになったどんぐりを助けたりしている。次男氏はごっこ遊び能力=物語生成能力が高い。もう自分の世界を作り出せている。私もレゴでごっこ遊びをしまくった人間なので、こういう時はそっとしておくに限るなあ〜と、皿洗いなどしていると、物語がヒートアップしすぎて、車が壁にゴンゴン激突しまくるものだから「はーい、それはやりすぎです!」と美しい世界を止めねばならない。難しい。


ああ、元気が有り余っている!! 仕方なく空いている時間帯のスーパーにいく。トミカのマスクをつけた次男氏はご機嫌だ。道ゆく人に挨拶をして、ヤクルトなどを買う。自分の元気がないので、手羽先で何か優しいスープのような……と献立を考えるが、どんどん先に進む次男氏を前に、食材を選ぶ暇はない。目に入ったものを0.5秒でカゴに入れお会計。家に帰って、買ったばかりの焼き芋など食べる。


14時過ぎに夫が一時帰宅。次男氏をよろしく頼んで、長男氏の三者懇談をしに小学校へ。履き心地が微妙でそのままになっていたスリッパを持っていく。ほぼ新品でピカピカだ。音楽室が待合所で順番が呼ばれるまで待つ。令和の小学校にも偉大な音楽家ポスターがずらっと貼られていた。壁はもちろん有孔ボード。指揮者が2〜6拍子で動かす手の動き一覧が貼ってあり、順番に息子とやる。6拍子のカウント方法が面白い。


帰宅後すぐ、夫仕事へ向かう。ありがてえ〜。職場が家から近くて助かる。今日のメイン業務をなんとか終えられた。ホッとしながら手羽先を煮る。スープのつもりが、カレーになる。生姜が効いたこういうスープカレーある! という味になりうまい。摩耗したマジックポイントを回復すべく漫画『君と宇宙を歩くために』読む。めちゃいい。こういう作品がマンガ大賞取るの嬉しいな。学校生活において私は浮きがちで、どちらかというとマイノリティ側だと思っていたが、いやいやマジョリティ部分も沢山あるわと考えながらページをめくった。すでに持っているものに、人は無自覚になるのだ。まずは、1話を読んでもらいたい。グッときたら全部いいから。


次男氏が風邪だ!

朝、少し咳が出る状態で保育園に預けたら、ゴホゴホになって帰ってきた。発熱しない限り、頑張ってみていただけるので本当に助かっている。ありがとうございます、保育園の先生。子どもの病気というのはすごい。物事に様々な優先順位があるとして、ズバーーとすごい速さで上に乗っかってくる。それまで気になっていた映画や本、家の掃除、締切のある仕事、自分の体調……そういうものを全部飛び越えて1番に躍り出てくる最強カードなのだ。


最強カードを前にして我々ができることはもう、体調の回復を促して、次男氏の免疫細胞がんばれ! と応援する、それしかないのである。気分としては雨乞いをする村人だ。恵の雨が降るまで、踊り続けるしかない。親というのはなんとちっぽけな存在なんだろう。ひとまず、家にあった薬を飲んでいただく。頭がいい4歳児なので、本当に飲む必要があると思わない限りNOを突きつけるのだ。ものすごいネゴシエーション能力を見せてくるので、こちらも絶対に引き下がれないラインを作りそこを超えないよう踏ん張るしかない。以前はヤクルトに薬をしれっと混ぜて飲んでもらっていたが、それはもうバレるしなあ(そして親に対する信用が落ちる)。


風邪で機嫌が悪いこともあり、難航の気配を感じていたら、長男氏が「歯が抜けた〜!」と飛び込んできた。おお、おめでとう。だいぶ前からぐらついてはいたが、ついに抜けたんだね、よかったよかった。小学4年生にもなると自分で血の処理もできる。ぶくぶく洗面台でうがいをしていた。頼もしい。抜けた歯はエナメル質が真珠みたいに輝いて、綺麗だった。それをみた次男氏は「僕も歯が抜けたい〜」と主張する。「君の歯はあと2年しないと抜けないねえ」「2年ってどれくらい? すごーく長い?」と質問される。私にとっての2年はあっという間だけど、次男氏にとっての2年ってどのくらいの長さなんだろう。年長さんになるくらいとぼやかして言ったところで、どのくらい彼に伝わるのだろうか。


結局今回は薬を飲み終えないとテレビ・iPadなどのメディアが金輪際見えなくなるよ、という条件で納得してもらった。金輪際という強めのワードを出したら、こちらの本気オーラを察知したのか「じゃあ、飲む……」という雰囲気になったのである。強い響きの言葉力を借りる結果となった。山を越えるとお互いに落ち着いて、いつもは寝渋る次男氏も夫の寝かしつけでスッと寝た。疲れていたんだろう。


私も明日に備えて早く寝ます。




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